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訪日外国人の2020年4000万人目標は諦めるべき

安倍内閣においては、2016年3月30日「明日の日本を支える観光ビジョン構想会議」において、2020年の訪日外国人数を4000万人にするという目標を掲げて、これまで各種インバウンド施策を打ってきました。2019年の訪日外国人数は速報値で3188万2000人(観光局発表)とされており、このうち959万人が中国からの訪日であったことが示されています。

特に月別(2019年12月)の指標では、韓国からの訪日外国人数が前年同月比で60%以上減少したのに対して、中国からの訪日外国人数は18.5%という著しい伸びを記録していました。月別の2位が台湾、3位が香港だったことを考えると、2020年1月の数字はいずれも著しく減少になることは明らかです。1月27日は中国政府が団体旅行の中止を通告した上、2月に入ってクルーズ船の入港を中止させるなどの取り組みを始めたことから、現在までに訪日外国人数が改善する見込みは全く立っていないと言えるでしょう。

これらの状況から、政府のインバウンド施策に関連する各種産業の中には、今回の武漢肺炎の流行にともなって、臨時休業や人員整理に踏み切らざるを得なくなったというニュースも目にするようになりました。東京五輪に向けて、インバウンドはいずれ回復すると考えられますが、そもそも武漢肺炎に関係するインバウンドの抑制が長期化すれば、東京五輪よりも前に経営破綻する企業が出てきてもおかしくない状態と言えます。

そのためには、2020年1月の訪日外国人数の速報発表を以て、日本政府は早々に「2020年の4000万人達成は厳しくなった」と発表をするべきです。多くの経営者が東京五輪の年における4000万人の訪日外国人をベンチマークに経営計画を立ててきました。ここで今年1年の目標数値を死守するために、経済活性化とインバウンドの増強を名目とした補助金や無利子緊急融資などの資金投入を行ったところで、必ずや反動が来ます。いずれ回復するからと企業に期待をさせて我慢比べの勝負をすることよりも、武漢肺炎の流行をはじめとする外的要因から、目標を追求する状況ではなくなったと政府がこのタイミングで表明することにより、早期に次善策を練ることができるようになります。安倍政権の大きな目玉政策であったインバウンドが、ベンチマークの年に目標達成不可と早い段階で決定づけることは勇気のいることですが、経済的な被害を最小限に抑えるためには、この勇気も必要でしょう。

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